「ウインド・リバー」は、2017年公開の社会派サスペンス映画で、日本では2018年に公開されました。
こちらは、ネイティブアメリカンの保留地で実際に起きた事件を元に制作された映画です。
今回、Netflixで配信されたので観てみたんですけど冒頭から惹きつけられました。
アメリカの闇が描かれているダークな映画ですが、緊迫感やスリルがあり最後まで面白かったです。
映画【ウインド・リバー】あらすじ
アメリカ中西部ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの保留地「ウインド・リバー」が舞台。
野生生物局のコリーは、雪の中で変死している18歳の少女ナタリーを発見する。
ナタリーは、3年前に亡くなったコリーの娘エミリーの親友でもあった。
保安官事務所に応援を求め、その後FBIの若手女性捜査官ジェーンがウインド・リバーにやってくるが、自然の過酷さを甘く見ていたジェーンはコリーに捜査協力を依頼する。
明らかに強姦された形跡があったものの、直接の死因は極度の冷気を吸い込み肺が破裂したことで起こった窒息死で、他殺ではないと監察医は結論づけるが、レイプされた少女の遺体を前にジェーンは納得できなかった。
ジェーンは、他の管轄に渡さないように必死で極秘捜査を行う。
そしてジェーンはコリーたちと共に、ナタリーが発見された場所から一番近くの家に住むチンピラ連中リトルフェザー兄弟の元へ向かった。
反撃に遭うものの、そこでナタリーに白人の彼氏がいたことを突き止める。
しかし、その直後ジェーンとコリーは、雪山で掘削所の警備員をやっていたナタリーの彼氏マットという男の遺体を発見する。
ジェーンは部族警察と共に、マットが生活していたトレーラーの捜査に向かうが、そこでマットの同僚たちから反撃を受け、銃撃戦となり・・・
キャスト
監督 テイラー・シェリダン
- ジェレミー・レナー
- エリザベス・オルセン
- ジョン・バーンサル
- グレアム・グリーン
- ケルシー・アスビル
- ギル・バーミンガム
- ジュリア・ジョーンズ
- マーティン・センスマイヤー
- テオ・ブリオネス
- エイペザクウェイト
映画【ウインド・リバー】ネタバレ感想&評価78点(100点中)
アメリカが抱える闇を描いた映画ですが、初めから終わりまで緊迫感があり惹きつけられました。
主人公のコリーは、3年前に亡くなった娘の親友で変死したナタリーの捜査をFBI捜査官と一緒に行うわけですが、緊迫感もあるけどネイティブアメリカンを取り巻く不平等な環境も上手く描かれていたとおもいます。
ダークで深い内容ですが、ストーリー自体はとても分かりやすかったです。
まず、この映画を観るまで舞台となっているネイティブアメリカンの保留地があることすら知りませんでした。
保留地で起こった犯罪は、ろくに捜査もされないし、ネイティブアメリカン女性の失踪に関する統計調査は行われず、失踪者の数も不明のままというのにも驚きました。
ということは、何でもアリなのかと思ってしまいますよね。
映画内の台詞にもあるように、ここには女も楽しみも何もなく、あるのは雪と静寂だけっていうのが全てを物語っているように感じました。
ナタリーの死の真相は、年上の彼氏であるマットのトレーラーハウスへ遊びに行ったところ、帰ってこないと思われた同僚の男たち5人が帰ってきてしまい、その中のひとりピートが酔っ払っていたことからナタリーに欲情そしてレイプ、ナタリーを助けようとしたマットは5人に殴り殺され、
ナタリーは、恐怖からマットを置いて逃げますが、極寒の雪道を裸足で10kmも走り、肺が破裂そして窒息死しました。
それにしても、5人が戻ってきたシーンはリアル過ぎて、同じ女性として見ていて本当に怖かったです。
この映画のポスターに書かれている「なぜこの土地では少女ばかりが殺されるのか」という問いがありますが、犯罪が起こってもまともな捜査されない、そしてこの土地でしか生きることのできない男たちの性のはけ口になっていることが要因と考えられます。
3年前に亡くなったコリーの娘エミリーの場合、コヨーテに食べられて検死すらできなかったみたいですが、あの話の流れだと男たちに何かされたのは確かでしょう。
何が怖いって、未だに映画に描かれているようなことが先住民保留地で起こっているということです。
まともな仕事や娯楽もなく、あるのはドラッグやアルコールのみ。
こういう環境の中で、不平等な扱いを受けていると健康な精神状態を保つのが難しいのは理解できますが、だからと言ってそんな男たちから性のはけ口にされ、レイプされたり殺されたりしている女性たちがあまりにも可哀想だとおもいました。
ちなみにコリーが、ナタリーをレイプした男ピートを自ら手を下さず死に至らしめたシーンは、観ていて気持ちがよかったです。
ナタリーと同じ苦しみを味あわせ、ナタリーだけでなく娘の敵もとった感じなのかなぁ。。
ネイティブアメリカンの実情と共に、娘を殺害された父親の執念を感じる作品でもありました。