『ナンシー』は、2018年サンダンス映画祭で脚本賞を受賞したスリラー系の映画。
嘘をつくことでしか人と関わりを持てない孤独な女性が、30年前に子供を誘拐された夫婦に接触し、嘘をついてまで家族になろうとする物語。
雰囲気は終始暗いんですけど、サンダンス映画祭で脚本賞を受賞しただけあって最後まで引き込まれて面白かったです。
と言いつつ、この映画はたぶん好き嫌いがハッキリ分かれるんだろうなーと思いますが^^;
映画【ナンシー】簡単なあらすじ
人付き合いが苦手で、嘘をつくことでしか人と関わりを持てない孤独な女性ナンシー。
家では自分にキツく当たる病気の母を看病しながら、職場では同僚の関心を集めるために嘘を付き続けていた。
そんなある日、病気の母親が就寝中に脳梗塞を起こし亡くなってしまう。
一人ぼっちになったナンシーは、ある夜30年前に娘を誘拐された夫婦をテレビ番組で見かけ、その娘の30年後のCG画像が自分とソックリなことに気づく。
自分は30年前に誘拐された娘なのだと思い込んだナンシーは、娘を誘拐された夫婦に連絡を入れ、自分が娘かもしれないと伝えた。
最初は半信半疑だった母親も、ナンシーの顔写真が30年後の娘にソックリなことに驚き、すぐに会いたいと申し出る。
ナンシーは、早速夫婦の家を訪ね初対面した3人だったが、喜ぶ母親に対し、父親は冷静でナンシーに不信感を抱いていた。
家族のように数日間過ごしたあと、DNAの結果を知らせる電話が夫婦のもとに掛かってきて・・・
キャスト
- アンドレア・ライズブロー
- スティーブ・ブシェミ
- アン・ダウド
- ジョン・レグイザモ
映画【ナンシー】ネタバレ感想と評価76点
85分で構成されている映画ですが、ナンシーの独特な雰囲気に引き込まれ最初から面白かったです。
しかし、冒頭でも書いたように、たぶん好き嫌いが分かれる映画かなと。
というのも、主人公のナンシーは嘘を付くことでしか他人と関わりを持てないメンヘラっぽい女性なので、そういう部分にイライラする方もいるでしょう。
30年前に娘を誘拐され、年老いた現在でさえいなくなった娘の行方をさがしている夫婦を利用しようとしたわけですからね。
まぁ、嘘というよりはナンシー自身も『この人たちの娘でありたい』と心の奥で願っていたように感じましたが。
誰にだって、『違う人生の自分』を想像することってあると思いますが、ナンシーは思い切って行動に移しちゃった感じですね。
まずは、DNA検査をして結果が出てから関係を築けば良かったのに、結果が出る前から夫婦はナンシーを家に数日間泊めて家族のように過ごしてしまうんですよね。
この映画の何が悲しいかって、ナンシーも30年前に娘を誘拐された夫婦も、みんな赤の他人だと本心では分かっているところです。
特に、母親は30年前に娘が誘拐されたのは自分が一瞬手を離したせいだと自身を責め続けていて、目の前に現れたナンシーは本当は他人なのかもと思いながらも、『娘であってほしい』と強く願いそう思い込みたい気持ちが逆に悲しさを強調させていました。
それに比べ、父親は冷静だけど娘が戻ってきたと思い込みたい妻に合わせている感じです。
DNA検査の結果は、やっぱりというべきか娘ではなく『他人』でした^^;
母親がナンシーに接する様子を見ていると可哀想で、『お願いだからDNA一致して!』って願ったけど、やっぱりそういう結果になりますよね・・・(笑)
娘じゃないと分かったあとの母親とナンシーの雰囲気がこれまた気まずい!!
森の中を散歩しているふたりの元に、怪我をしたハンターが現れナンシーが手当をしてあげます。
そして、その姿を見た母親の心境に変化がありました。
『大切なのは今ある関係、触れられる相手』
本当の娘ではなかったけど、あなたは私達の娘だよって。
そんな心境になるのかなー?と感じつつ、
それを伝えたシーンがとても悲しく、同時に温かな気持ちになりました。
30年間娘を探し続け、やっと自分たちの元に戻ってきたかもと思った女性が他人だと分かった絶望や諦め、他人でもいいから娘に似たナンシーを本当の娘だと思いたい夫婦の気持ちが切なかったです。
結局、ナンシーは夫婦の元にいることがいたたまれなくなり家を飛び出し終了しましたが、余韻を残した終わり方で良かったです。
本当の娘ではないだろうなと分かっていながらも、もしかしたら・・・と視聴者に思わせる感じが最高でした!
U_NEXT独占配信なので、興味のあるかたは是非ご覧になってみてください。