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ネタバレ感想【マリセラ・エスコベド 彼女は三度殺された】はメキシコの怖さが再確認できるドキュメンタリー映画

netflixマリセラ・エスコベド

Netflixドキュメンタリー映画「マリセラ・エスコベド 彼女は三度殺された」の配信が、10月14日(水)からスタート!

本作は、娘を殺した犯人に無罪判決を下したメキシコの司法制度に抗議し続けた母親の闘いを追ったドキュメンタリーです。

このドキュメンタリー映画を観て改めて思ったのは、メキシコ腐りすぎ!!

Netflixドキュメンタリー映画【マリセラ・エスコベド 彼女は三度殺された】あらすじ

マリセラは、看護師であり材木店を経営する5人の子供の母親。

末っ子のルビーは、兄弟からも一番可愛がられている存在だった。

しかし、13歳になったルビーは、母マリセラの店で働き始めた21歳の男セルジオと恋に落ち、家出をしてしまう。

その2年後、ルビーは妊娠出産するが、無職のセルジオのせいで生活は困窮していた。

そんなある日、ルビーはまだ幼い娘を残し突然失踪する。
セルジオの話では、ルビーは他に男を作り出て行ったというものだったが、母マリセラや兄弟たちは信じられなかった。

警察へ出向いても捜索願の受理に1ヶ月半掛かると言われたマリセラたちは、懸賞金を掛けルビーに関する情報を求むポスターをいたる所に貼った。

その甲斐があり、事件の真相を知る男から連絡が入る。

男の話によると、犯人はルビーの夫セルジオで、すでに彼女をドラム缶に入れて焼き殺し、ゴミ廃棄所に放置したというものだった。

その後、逮捕されたセルジオはルビーの殺害と遺体を遺棄した場所を自供するが、裁判の判決では裁判官全員一致の無罪が下されてしまう。

判決が信じられず受け入れることができない母マリセラは、その日から抗議デモを行うようになる。

感想

娘を義理の息子に殺された母親の闘いを映したドキュメンタリー映画です。

まず率直な感想ですが、ドキュメンタリーどころか普通に映画化されてもおかしくないような内容でした。

こういう作品を観ると、メキシコの警察、政府、司法制度がどれだけ腐ってるのかがよく分かります。

メキシコでは、毎日約10人の女性が殺害されているようですが、逮捕されても97%は処罰されないなんて、女性軽視もいいとこですよね。

その他に、警察や政府関係者などの多くが麻薬カルテルと裏で繋がっているから、どっちに転んでもこの国に正義なんてものは存在しないのでしょう。

で、本作の舞台となったのはメキシコ・チワワ州最大の都市シウダー・フアレス

悲劇の発端は、母親マリセラが同情心からセルジオという男を雇ってしまったことなんですが、こんな男さえ雇わなければ、娘が殺されることもなかったはずだし、そう考えると彼女が一番後悔しているんだろうな。

一番驚いたのは、犯行を自供している男が裁判で無罪になったことでしょうか。
ボーッとしながら観てたから、全員一致の無罪ってなったときはビックリして一気に目が覚めた^^;

こういう判決が下されてしまったのには理由があって、以前メキシコでの自白の多くは拷問によるものだったことから、2008年に司法制度が変更されたようです。

だから、例え自白しても証拠がなければ無罪になる可能性が高いということみたい。

ルビーの事件でも、逮捕されたセルジオが無罪になったことに関して、裁判官は検察側が立証責任を果たせなかったからだと述べています。

遺体を遺棄した場所も自供してるのに、これじゃ証拠にならないんですかねー。

無罪判決が下された直後のお母さんの姿が痛々しくて(;_;)
明らかに娘を殺した犯人が目の前にいるのに無罪なんて判決下されたら、そりゃ発狂もしたくなるわ。

マリセラは、すぐに判決を不服とした抗議デモを始めるんですけど、毎日警察署から裁判所まで10キロ歩き続けるってすごくないですか!?

徒歩で10キロってけっこうな距離よww
しかも、ビーサンで( ゚д゚)ハッ!

その後、控訴審では一転して男に有罪判決が下されますが、今度は逮捕前に男が逃走。
これから有罪判決が下されるかもしれない男を見張りもせず野放しにしてたのかしら。本当に警察が無能過ぎて・・・。

怒り心頭の母親は、男を探しながら国中で抗議デモを行います。男が潜んでるかもしれない場所では夜通し張り込み、執念で居場所を突き止めるんですけど、今度は警察が目の前にいる男を取り逃がしちゃうんですよ。

本当に取り逃がしたのか、それとも男が麻薬組織カルテルの一員になったからわざと捕まえなかったのか疑わしい。

怒りが収まらないマリセラが次に向かった先は、政府宮殿前
そこで政府や司法に対する抗議デモを行うわけですが、ここでのデモが命取りになってしまいます。

ていうか、カルテル絡みなら絶対殺されるの予想できるもん。殺られるの分かったから見ててハラハラした。あの人たちって、相手がおばちゃんだろうが、子供だろうが容赦しないからマジで怖いわ。

案の定、マリセラは宮殿前で何者かに射殺されるんですけど、彼女もこうなること予想してたんだろうね。それでも止めなかったのは、娘の死を無駄にしたくなかったからだと思う。

その後には、マリセラが経営する木材店で店番していた人物もとばっちり受けて殺されちゃうんですけど、家族皆殺しにしようとしてるのが伝わってきて怖い。

政府宮殿前でマリセラが殺害されたことで、市民の政府に対する不信感は一気に爆発し、大規模なデモが行われます。

慌てた政府は、何の関係もない男を拷問し、マリセラ殺害の犯人に仕立て上げようとするんだから、怖すぎる。しかも、この人刑務所で他の囚人に殺害されたんでしょ(T_T)

これは、政府が口封じのために刺客を送ったとしか考えられないわ。

結局、マリセラを殺害した本当の犯人は逮捕されてないんですよね。
娘ルビーの事件に関しても、セルジオは逮捕されなかったわけだし、女性を殺害しても97%は処罰されていないというメキシコの現状がよく理解できました。

殺害されたマリセラですが、生前の彼女の行いに賛同した女性たちが立ち上がり、マリセラは亡き後もフェミサイドに抗議する女性のシンボル的存在となっているようです。

ちょっと日本では考えられないような出来事ですが、これがメキシコという国の現状なんでしょうね。

娘を想う母親の強さが感じられる作品ですが、同時にメキシコの怖さを再確認できるドキュメンタリー映画でもありました。