今回は、2015年公開の映画「アノマリサ」を観た感想です!
絶望の中、仕事で名声を築き本も出版している男が、講演のため訪れたシンシナティのホテルで理想の女性と出会い、不思議な体験をする物語。
この間、U_NEXTで見かけてからずっと気になっていた作品なんですけど、やっと観れました(^^)v
現実と妄想、正気と狂気の狭間を描いた作品ですが、予想以上にストーリーに入り込めて面白かったです!
映画【アノマリサ】あらすじ
カスタマー・サービスの分野で名声を築き上げ、本も出版しているマイケル・ストーン。
マイケルは、翌日開かれる講演会のためシンシナティを訪れていた。
ホテルにチェックインし、翌日の準備に取り掛かろうとするが、孤独感に支配され何も手につかない。
そんな時、ひょんなことから自分のファンだという女性リサとエミリーに出会う。
2人をバーに誘い楽しい一時を過ごしたマイケルは、リサだけを自分の部屋に誘い、一夜を共に過ごしてしまう。
マイケルは、リサの美しい声と控えめな性格に魅了され、妻がいるにも関わらず彼女との結婚を決意するが・・・
キャスト
監督 チャーリー・カウフマン、デューク・ジョンソン
- デヴィッド・シューリス
- ジェニファー・ジェイソン・リー
- トム・ヌーナン
映画【アノマリサ】ネタバレ感想&評価75点
この投稿をInstagramで見る
「アノマリサ」は、2015年公開のストップモーションアニメ映画で、第88回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされた作品です。
脚本と監督を務めたのは、「エターナル・サンシャイン」や「もう終わりにしよう」で知られるチャーリー・カウフマン。

チャーリー・カウフマンの作品って一回観ただけでは理解するの難しいけど、現実離れした不思議なふわふわ感があるから大好き。
それに加え、今回はストップモーションアニメということで、余計なんとも言えないような不思議な感覚を味わうことができました。
「アノマリサ」は、ストップモーションアニメですが、全然それを感じさせないんですよ。とにかく人物の動きがなめらかで、90分の映像を撮影するのに相当な時間を要したのが想像できます↓
この投稿をInstagramで見る
で、驚いたのが、ストップモーションアニメでありながらベッドシーンがあること!!
まぁ、その前から主人公の全裸シーンが登場したり、けっこう生々しくリアルだったので、ヒェ~って感じだったんですけどww
中年のおっさんが下も隠さずウロウロする様子や、トイレにシャワーのシーンまで盛りだくさん。それに、男女どちらもそうだけど、体のラインとか本当にリアルなんですよね。
ボーッと見てるとストップモーションアニメだということを忘れてしまうほど。
ベッドシーンは、実写のようなもろ男女のセッ○スですが、全然いやらしさや下品な感じがなくて、どちらかと言うと美しささえ感じます。
映像だけなら、間違いなくベッドシーンが一番の見どころでしょう。
内容は、名声を築きながらも人生に絶望した男の一夜を描いた物語なんですけど、実写映画よりも主人公に対し人間味を感じました。
主人公ほど重症じゃなくても、人間だれしも孤独を感じることってあると思うんですよね。主人公のように、孤独から逃れたくて一夜限りの浮気に走っちゃう人もいると思うんですけど、そういういたたまれない寂しさや孤独な感情が人形の表情に上手く現れてた。
で、映画の序盤から不思議だったのが登場人物の声。
この映画観た人ならみんな、ん?あれ?ってなる部分ねww
明らかに妻ドナからの電話なのに声が男だったり、てっきり同性婚でもしてるのかと思ってたわw
その後、主人公に会いにきた元恋人ベラを始め、登場する女性みんな男性の声で同じ顔なので一体どうなってるのか混乱。
ベラが帰ったあと、登場したリサという名前の人物だけは普通に女性の声なんですけど、これは彼女が主人公にとって他とは違う、特別感を出すための演出だったみたい。
主人公にとってみれば、同僚、友人、タクシー運転手、ホテルスタッフ、そして悲しいことに妻と子供でさえ、みんな同じなんですよ。
同じというのは、自分の孤独や寂しさを埋めるに足りない、繋がることのできない存在だということ。だから、リサ以外みんな同じ声だったんですね。
同僚とかなら理解できるけど、家族に対してもそういう思いでいるって相当な孤独感に支配されてるんだろうな。
それで、その孤独を埋めるため、微かな期待を寄せて元カノに連絡するんだけど、久々に再会した彼女も特別な存在だと感じられなかったり。
あのシーンは、主人公の身勝手さが滲み出てると思う。
11年前、当時付き合っていた彼女を一方的に振ったくせに、現状に満足できなくて寂しい、近くに来たから会いたい・・・とか、どれだけ勝手なのよ・・・。
振った理由も曖昧だし、もしかしたらその頃から病気だったのかも。
元カノが怒って帰ったあと、ようやく見つけた他とは違う特別だと思える女性リサ。
彼女の声を聞き一瞬で恋に落ち一夜を共にしちゃうんだけど、翌朝には彼女に対する気持ちにも変化が現れていましたよね。
妻とは別れるから結婚しよう!と言いつつ、彼女の食べ方の癖が気になったり、支配的な性格なのでは?と疑い始めたり、そうこうしてるうちに、あんなに魅力的だったリサの声も徐々に男性っぽく変化していきます。
要するに、運命を感じた女性も、主人公にとってみればやっぱり他と変わらなかったという事なんでしょうね。
好きになった相手と付き合いを深めていく中で、相手のささいな癖に幻滅するのは理解できるんですけど、主人公の雰囲気まで冷たくなってて振り回されてるリサが可哀想だった。
ふわふわした流れから一転、ホテルの部屋で主人公とリサが朝ごはんを食べるシーンは主人公の絶望がひしひしと伝わってきて、切ない通り越して薄気味悪かったです。
飛行機の中で安定剤らしき物を服用していたシーンがあったので、精神になんらかの疾患があるのは間違いない。
日本語が大好きと話していたリサ、そして息子ヘンリーのために買った桃太郎を歌う日本人形から精液が出てきたということを考えると、もしかするとリサって妄想の人物だったのかもしれないですね。
あの美しいセッ○スシーンも、実際は主人公がダッチワイフを抱いていただけと考えるとゾッとしますが・・・ww
しかも、その不衛生な人形を息子へのお土産にするってねww
精神を病んでいるとしても、なかなかのお父さんだわ^^;
ただ、映画のラストでリサが主人公宛に手紙を書いてましたよね。
そう考えると、現実だったとも読み取れるし・・・、解釈が難しい。
結局、この映画にはどんなメッセージ性があったのか・・・
精神疾患を通して、現代社会の孤独を描こうとしていたのかなと感じました。
脚本だけ見ればめっちゃ不気味なんですけど、変なところで主人公に共感できたり、とても不思議な映画でした。
ほとんどの登場人物の声と顔が同じなので、実写映画では実現できなかった作品なんでしょうね。
ん?どゆこと??ってなる映画でも、やっぱりチャーリー・カウフマンの作品は面白い♥